ハードボイルドというと特に女性には敬遠されがちだけど、徹底的な取材が根底にあるので、普段無縁だけれど実在する世界や、時代背景を知るだけでも面白い。
有名どころは物語も入りやすいので、食わず嫌いの方は是非一度お試しを。

「蝦夷地別件」上・中・下 船戸与一

蝦夷地別件

ハードボイルドと言えばこの人抜きには語れず。

「山猫の夏」「砂のクロニクル」「伝説なき地」「猛き箱舟」など、主に南米の秘境の地でバトルを繰り広げる日本人ものが多い中、「蝦夷地別件」はめずらしく国内が舞台となっている。
アイヌ民族は祖父が研究していたこともあって、
個人的にとても関心があるのだが、扱っている作品は少ない。
日本にもインディアンと同じように侵略された先住民族がいるということを
どれだけの人が認識しているだろうか。そういった意味でも貴重な一編。

しかし相変わらずこの人の作品には「救い」がない。
あるヒマな人の資料によると、船戸与一の作品は主人公の死亡率六割強、
脇役達に至ってはほとんどが壊滅状態だとか(笑)。
読後「ずぅ〜ん…」とした気持ちになるのは覚悟の上でお読みあれ。

ちなみに船戸与一って、外浦吾朗の名で「ゴルゴ31」の劇画原作もしているって、知ってる?
なんかすごくわかる気がする…(笑)。


「ワイルド・ソウル」上・下 垣根亮介
ワイルドソウル

大藪晴彦賞・吉川英治文学賞・日本推理作家協会賞と3賞総ナメの話題作。

事件の展開よりも、これを読むまでは全く知らなかった
戦後のブラジル移民政策の実態に驚かされた。作者の2ヶ月にわたる緻密な南米取材が生きた、渾身の作。

ハードに話が展開していったわりに、ちょっと拍子ヌケしたラストが惜しい。
(船戸与一が救いがなさすぎるだけか…)



「テロリストのパラソル」 藤原伊織
テロリストのパラソル

だてに江戸川乱歩賞、直木賞同時受賞のベストセラーではない。
登場人物の人物像が丁寧に描かれていて、入り込める。

ハードボイルはちょっと…という女性でも、これは読みやすいのではないかと思う。
作者、去年亡くなられましたね。残念です。



「ホワイトアウト」 真保裕一
ホワイトアウト

織田裕二主演で映画化されて話題になった。「踊る大捜査線」は大好きだけど、
これは原作の方がずっと秀作。
まあひと言で言ってしまえば「雪山サスペンスアクション」なのだけど、
大自然が生み出す圧倒的な雪の恐怖、スピード感があり、一気に読める。
山岳アクションでは最近「ミッドナイト・イーグル」(高嶋哲夫)も話題になったが、
個人的にはこの「ホワイトアウト」の方がオススメ。


「亡国のイージス」上・下 福井 晴敏 
亡国のイージス

これまた日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞、大藪春彦賞をトリプル受賞した話題作。
「沈黙の艦隊」を彷彿しなくもなかったけれど…何しろ登場人物が魅力的で、伏線バッチリ、
ぐいぐい引き込まれるストーリーなので、国防だの自衛隊だのを抜きにしても十分楽しめる。
特に、艦隊ものにしては珍しい「汗臭くない、影のあるイケメン」如月君は、
女性のハートをがっちり掴むこと間違いなし。
ちなみに私は如月君のイメージが壊れるのがイヤで、映画は見ていない。

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