タイトルは各作者の中で、ベストと思われるもの。

もちろん、独断と偏見によるものですので、ご了承ください。

 

 「重力ピエロ」  伊坂幸太郎

彼の小説は、作品同士がリンクしていて、
前作に登場した登場人物がひょっこり顔を出したり、同じ事件が取り扱われたりする。
なので、できればデビュー作「オーデュポンの祈り」から
発行された順に読み進めていくと、
単独で読むのとまた違った楽しみ方ができる。

けれど彼の作品は、ぶっちゃけ「あたりハズレ」がある。
人によって好みもあり、それぞれ評価が分かれるところだが、
とりあえず代表作といえるこの「重力ピエロ」はおすすめ。
直木賞にノミネートされつつ、惜しくも逃している作品だ。

「重力ピエロ」の陰のヒーローは、主人公の兄弟の父親だ。
「血のつながり」に翻弄される兄弟は、最後には「血のつながり」
を超えた家族の絆に救われる。
…なんて言葉にするとチープだけれど、読み終わって、
しばらくしてからじわじわと心に沁みてきた。

これで伊坂作品にはまった人は、
次に、これまたなんだかじわじわと味のある短編集「死神の精度」
もお試しあれ。

 

 「火車」  宮部みゆき

火車

ご多分に漏れず「龍は眠る」「火車」からハマり、宮部みゆきは全作欠かさず読んでいる。

まだの方は、まずこの「火車」からどうぞ。

重厚なミステリーからファンタジー、SF、時代物と幅広い作風の作家だが、
共通して言えるのは「根っからの悪人」が出てこないこと。
女性から見て母性本能をくすぐられる理想的な「少年」を描くのも上手い。
あ〜、こんな息子がいればなあ…いやいや、ぜひムスメの彼氏に…
なんていう妄想をかきたてられる…のは私だけ?
男性にはこれが物足りなく感じる人も多いようだけど、
この人の優しい視点は、読んでいて自分に向けられている気分になって心地いいんだなあ…。
犯罪被害者の心理描写などは巧みで共感できる部分が多く、心にシミる。

宮部みゆきの作品は、主に5つのジャンルに分けられる…って、勝手に分けたんだけど。
好みや気分によって読み分けてみるのがいいかも。
 −重厚なミステリー−
 重いけれど読み応えあり。個人的にオススメの作品はこのジャンルに集中。
 
  「火車」「模倣犯」「理由」「長い長い殺人」「スナーク狩り」
  「地下街の雨」「返事はいらない」etc.

 −SF的要素のあるミステリー−
 と言ってもSF度は低く、日常の中に超能力やタイムスリップが「そんなこともあるかも…」
 と思わせるほど違和感なく組み込まれている。

  「龍は眠る」「レベル7」「魔術はささやく」「蒲生邸事件」「鳩笛草」「クロスファイア」 etc.

 −ライトノベルズ−
 お得意の少年キャラでハートフルな雰囲気ものが多い。

  「ステップファーザーステップ」「今夜は眠れない」「パーフェクト・ブルー」 etc.

 −時代物ー
 時代物というべきか…江戸下町をベースにした人情もの。短編も多く、読みやすい。
 
  「初ものがたり」「本所深川ふしぎ草紙」「あかんべえ」 etc.

 −ファンタジー
 宮部みゆきは相当なRPGマニア。ゲーム感覚の要素が濃く、好きな人は好きなようだけど、
 私はちょっと…試しに読んではみたものの、もう読まないかも。
 
  「ブレイブストーリー 上・下 」「ICO−霧の城−」「ドリームバスター(シリーズ)」
 


「クラインの壷」  岡嶋二人
クラインの壷

岡嶋二人は「おかしな二人」を由来とするペンネームで、
井上泉(のちの井上夢人)と徳山諄一のコンビ。

「クラインの壷」はヴァーチャルリアリティの恐怖を書いたSFモノ。
スピード感があり、専門的な内容のわりには入り込みやすい。
この作品を最後にコンビを解消しているので、集大成と言ってもいいのかな。

岡嶋二人の作品から一つ選ぶにあたって、もうひとつ悩んだのが「99%の誘拐」。
「誘拐の岡嶋」と言われている(誰が言っているのか知らないけど)くらいなので、
これもけっこう飽きさせないヨ。


「倒錯のロンド」 折原一
倒錯のロンド

叙述トリックで有名な作家。
…で、叙述トリックって何かと言うと、
「文章の言い回しなどを用いて意図的に読者のミスリードを誘う手法」
なのだそう。
最近読んだ典型的な叙述トリックでは
歌野晶午の「葉桜の季節に君を想うということ」がある。
こっちの方は…うーん、まあ、読んでみて。
この手の作品は書評などを読まずに、先入観なしで読むのがいいと思う。
もう遅いか(笑)。
 
 
「弥勒」  篠田節子
 

弥勒

直木賞を受賞した「女たちのジハード」が、篠田作品との最初の出会い。
人間の心理描写がうまい人だーと感心しながら、
同世代の女としてひたすら共感しながら読んだ覚えがある。
 
が、さかのぼってこの「弥勒」を読んだ時には、
「女たちのジハード」とは比べ物にならない衝撃を受けた。
綿密な取材と壮大なスケールの構想のもとに描かれた、渾身の超大作。
人並みのストレスを抱えながら日本で平穏に暮らしていた人間が、
いきなり想像を絶する過酷な状況に追い込まれる。
信仰、政治、革命…今の日本ではありえない極限状態の中で、
真の愛情、生き方を問われる。
 
なーんて書くと、重すぎて引いてしまう?
ところがどっこい、そこがこの作者のすごいところ。
巧みなストーリー展開とわかりやすい描写でぐいぐいと引き込まれ、
気がついたらぶ厚い1冊をあっさり読破していた。
私の中では、篠田作品のベスト1である。
 
 
「イン・ザ・プール」 奥田英朗
 
インザプール
 
直木賞を受賞した「空中ブランコ」の伊良部医師シリーズ第一弾。
 
ちょっと変わったビョーキに悩む患者たちが、
もっと普通じゃない精神科医の伊良部氏のもとを訪れ、
結果的にそれぞれの病を克服していく。
やることなすことハチャメチャで無責任、
そもそも治療なんてする気なんてない様子の伊良部医師。
最大の治療は「もっと力抜いて生きていってもいいんじゃん」
と思わせるその行動にある。
  
実際にこんな医者がいたらどうかはともかく、
読後肩の力が抜けて楽になるのだから、
伊良部医師は間違いなく名医なのだろう。
 
 
「13階段」 高野和明

13階段

 
満場一致で江戸川乱歩賞を受賞したデビュー作。
 
日本の刑法のあり方を問いながら、殺人事件の加害者・被害者両者の
人間の業について、あくまでも客観的に淡々と描かれている。
が、ストーリー展開はスピーディーで意外性があり、一気に読める。
 
デビュー作にして、今のところ高野氏の最高傑作なのでは。
 
 
「容疑者Xの献身」 東野圭吾
 
 「白夜行」 
 
 
押しも押されぬ人気作家だけあって、
今から入ろうと思うと、どれから手をつければいいのか迷うところだ。
 
とりあえずはドラマにもなった、ベストセラーから読んでみる。
…が、やはり先にドラマを見るべきではなかった。
この人の作品は文庫化されるのと同時にどんどんドラマ化されてしまうので、
読む前につい見てしまうのだ。
 
ドラマとして全く面白くなかった「白夜行」は、特にそう思った。
見ていなければ新鮮な驚きと感動が味わえたのに…
あんな分厚い1冊を読破したにもかかわらず、ため息がでた。
ドラマを見ていない人は、ぜひご一読を!私の10倍は楽しめるはず。
 
けど、「容疑者Xの献身」から始まるガリレオシリーズは、
ドラマは別ものとして楽しめる。
え?何が違うって?
そりゃ、福山雅治のカッコよさの一言につきるでしょ。
これ見るまではただのイケスカナイ兄ちゃんとしか思ってなかったんだけどね。
今や、福山の歌う曲までうっとり聞いてる自分が信じられない…。
 
話はそれたが、
そんなワケで、東野圭吾の作品は、
小説として、正当に評価できないでいる。
 
 
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